シャーレンチやボルトに関する豆知識をご紹介いたします。

高力ボルトに関するQ&A

Q.1

トルシア形高力ボルトS10Tの一次締のトルク値は?

A.M16 約100N.m M20,22 約150N.m M24 約200N.m M27 約 300N.m M30 約400N.m

建築基準では上記の数値。
※橋梁基準では一次締は本締の60%締めでM20 約300N.m  M22 約400N.mとなる。

Q.2

ドブハイテンボルトF8Tの一次締トルク値は?

A.M16 約100N.m M20,22 約150N.m M24 約200N.m  M27 ・M30 約250N.m

M27・30がトルシアボルトと異なる。

Q.3

M22トルシアボルトの軸力検査時に、一次締が150で締めたはずなのに軸力計で50くらいしか出ていないのはなぜ?

A.一次締で決まっているのはトルク値150N.m。軸力計に表示されているのは軸力KN。

トルクは締めつける力、軸力は部材を押さえる(引っ張る)力。

Q.4

スーパーハイテンボルト(S14T)の一次締トルクは何N.mですか?

A.M16約200N.m  M20.22 約300N.m M24 約400N.m

通常のトルシアボルトS10Tの倍のトルク値

Q.5

トルシアボルトの首下の長さは締付部材の寸法にどれくらいプラスすればよいのか?

A.M16 25mm M20 30mm M22 35mm M24 40mm M27 45mm M30 50mm

ボルトの余長が1~6山が許容範囲。

Q.6

六角ハイテンボルトF10T、F8Tの首下長さは締付部材にどれくらいプラスすればいいのか?

A.M12・25mm  M16・30mm  M20・35mm  M22・40mm  M24・45mm  M27・50mm  M30・55mm

通常ワッシャーが2枚なのでトルシアボルトに比べて5mmアップ。

Q.7

ハイテンボルトの孔径はどのようなサイズで空ければいいのか?

A.M16~M24ボルト系の2mmUP、M27,M30ボルト系の3mmUP

普通ボルトは0.5mmUP 、アンカーボルトは5mmUP
※通常は上記の寸法で孔を空ける。

Q.8

トルシアボルトを本締めしたときのナットの回転量(マーキングのずれ)の範囲に規定はあるか?

A.マーキングのずれの角度に規定はないが、バラツキに規定がある。

一群の平均角度の平均値の+-30°以内です。

Q.9

12G溶融亜鉛めっき高力ボルト(超高力ドブハイテン)の一次締トルク値は?

A.M16 200N.m  M20 300N.m  M22 300N.m  M24 400N.m

F8Tの2倍のトルク

Q.10

12G溶融亜鉛メッキ高力ボルトの本締めはナット回転法で何度回せばいいか?

A. 既定のトルク(F8Tの2倍)で一時締したあと、90°~120°の範囲でナットを回転させる。

※120°をこえてはいけない。

Q.11

ハイテンボルトの径に対するナットの二面幅の寸法は?

A.M12=22 M16=27 M20=32 M22=36 M24=41 M27=46 M30=50

普通ボルトとナットの寸法がちがうので注意が必要。

Q.12

トルシア形高力ボルトはJIS規格ではない?

A. JIS規格ではない。

建築と土木で企画内容に違いがあり統一規格に難しいので。
建築はメーカー毎に国土交通大臣に認定を得たものがJIS規格と同等に使用できる。
※その理由で土木(橋梁)だとキャリブ(軸力測定)必須となる。

Q.13

溶融亜鉛メッキ高力ボルトF8TはJIS規格ではない?

A. JIS規格ではない。

ナットがオーバータップなのと、座金の硬さが異なることから対象外となる。
国土交通大臣の認定を得て実用に供している。
※F10T六角HTはJIS規格

Q.14

トルシャーボルトを本締めした時に、座金回りやボルト回りしていた場合どうするか?

A. 差し替えなければならない。

本締め確認した時にナットだけが回転している必要があり、
座金とナットの供回りや、ボルト自体が回る軸回りは取替なければならない。

Q.15

ドブハイテンボルトF8Tの本締めの仕方は?

A. 一次締付後、120°+-30°の範囲で締める。

M12は60°+30°の範囲

Q.16

トルシアボルトの一次締めをトルクレンチで手締めする場合に注意することは?

A. ボルトの先にピンテールが付いてるいるので、ソケットをロングのものを使わないとナットにかからない。

トルクレンチのレンタルをするときは注意。

Q.17

ドブハイテンF8Tは軸力検査できるか?

A. できない。

軸力に規定値が存在しないので検査はしない。

Q.18

高力ボルトの各サイズの軸力の規定値はどこで決められているか?

A. 日本建築学会。建築工事標準仕様書JASS6にも記載がある。

その他一次締トルク値やナット回転法のこともJASS6に記載がある。

シャーレンチに関するQ&A

Q.1

M22トルシアボルトの一次締トルクは150N.mなのに、TONE建方一番の検査合格書が180N.m設定になっているのはぜ?

A. TONEでは150N.mを下回らずに締めれるように建方一番の設定トルクをM22・20は180N.mとしている。

同様にM16が120N.m、M24が250N.mの設定。

Q.2

充電式シャーレンチ(TONE)は何本くらいトルシアボルトを締めれるか?

A. 目安はフル充電して、CSM200(M16・20用)約250本 CSM220(M16~M22用)約200本。

※弊社レンタル品はバッテリー2個付きでの貸出。

Q.3

トルシアボルトを締めるときボルトの上部が狭くて普通のシャーレンチが入らない時はどうしたらいいか?

A. 幅狭用のシャーレンチ、コーナー型MCタイプ、極短型USタイプを使用する。

それぞれピンテール上部にMCなら154mm、USなら92mmの空間があれば使用可能。

Q.4

シャーレンチを使用する際の延長コードは何メートル以内で使用するべきですか?

A. メーカー推奨は100Vで15m、200Vで30m程度。

実際はなかなか難しいので30mまでのドラムで使っていただくことがお勧め。
それ以上延ばすとシャーレンチのモーターが焼付き故障の可能性が高くなる。

Q.5

トルシャットとシャーランナーの違い?

A. 角度制御かトルク制御。

トルシャットとは、角度制御機でドブHT・F8Tを回転角法で締める機械。

シャーランナーは、トルク制御機で主に六角HT・F10Tの締付、逆転機能があるのでボルトの戻しに使用する機械。

Q.6

トルシャーボルトをシャーレンチで切りたいが、横の部材にレンチが当たって入らない時はどうするか?

A.通常ロングソケットを使って上にかわして切る。

M16~M20なら65L・100L・200Lのロングソケットが使用できます。(M22は100L 200L)

Q.7

高力ボルトの差替などで緩める必要があるときは何を使うか?

A.TONEシャーランナーは正逆の切替ができ締めたボルトを緩めることができる。

制御器が入っているので許容トルク以上のボルトを緩めても、ボルトは緩まないが機械は壊れない。
インパクトレンチだと叩き続けて緩まないと壊れる可能性あり。

Q.8

シャーレンチの検査合格書は校正書と同じ意味合いでいいのか?

A.TONEが発行する正式な検定書の題目が検査合格書。

指定検定機で検定した機械に「検査合格書」が付きます。
メーカー(TONE)では校正書というものは出していないので、この検査合格書がその代わりとも言える。

Q.9

建方一番でハイテンボルトを一次締したが締りが弱い気がしたので、
再度締め付ける(2度締、追い締)は可能か?

A.建方一番でボルトの2度締は絶対NG。

機械にオーバートルクとなり内部ギヤが破損する。
明らかに締りが弱い場合は一度緩めてから締めなおす必要がある。

Q.10

シャーレンチの点検整備として大事なカーボンブラシの交換で気をつけることは?

A.カーボンブラシの金具部の入れる向きが間違えやすいので注意。

向きが違うのに強引にいれるとブラシホルダが割れて故障してしまいます。

Q.11

シャーレンチでトルシアボルト剪断時にピンテール(ボルトのチップ)がぽろっと落ちてしまう時はどうしたらいい?

A.インナーの摩耗の可能性もあるが、シャーレンチ自体のピンを輩出する機構が故障している可能性が高いので機械の修理が必要。

エジェクターピンと共にレンチの後ろ側にあるラッチも交換する必要がある。

Q.12

シャーレンチでトルシアボルトを剪断したあとピンテール(ボルトのチップ)がインナーから抜けずにつまるときはどうしたらいい?

A.まずインナーソケットの摩耗の可能性が高いのでインナーソケットの取替が必要。

ボルト自体の状態やボルトメーカーの違いで多少のつまり具合に違いがある。

Q.13

M16.20用トルシャット、TN20Eを使用時に注意することは?

A.M22のボルトを締めるとオーバートルクになって機械が破損してしまう。

※M22用のソケットも装着できてしまうので注意が必要。また2度締するとさらに120°回そうとして機械が破損してしまう。

Q.14

M16・20用シャーレンチGM200、M200(LSR20)の使用時に気を付けることは?

A.M22を切るとオーバートルクになって機械が破損する。

通常M22のソケットははまらないようになっているが、叩き入れると入る。そして外れなくなる。

Q.15

軸力計に挿した高力ボルトを建方一番で一次締付したところ締付が弱いように感じたが?

A.建方一番、特ににGKS GKR のタイプは、締付部材が柔らかいとトルクが低くなりがち。

軸力計は油圧で縮むので柔らかい部材の一種と言える。

Q.16

シャーレンチのスイッチを入れっぱなしで常に回転させたままボルトを切っていくのはOK?

A.インナーが摩耗しやすく早く交換が必要になります。

現実にはこの使い方をされていることが多いのですがメーカーとしては推奨されていません。

その他ボルト、建築に関するQ&A

Q.1

溶融亜鉛メッキは錆に強いようですが何年くらいもつのですか?

A.通常の使用環境なら数十年もつと言われている。

傷などで素地の鉄が露出したとしても、亜鉛が鉄より先に溶けて保護するため鉄を腐食させない作用がある。

Q.2

普通ボルトの径に対するナットの二面幅の寸法は?

A.M8=13 M10=16 M12=18 M16=24 M20=30 M22=32 M24=36
M27=41 M30=46 M33=50 M36=55 M39=60

ハイテンボルト、ウイットだとナット寸法が違うので注意が必要。

Q.3

軸力計の検定書は期限、精度の決まりはあるか?

A.精度は誤差+-3%が必要(高力ボルト協会)。

期限は明確に決まりないが一般的に1年以内の検定が望ましい。
※弊社レンタル品は3カ月に1回の検定。

Q.4

トルクレンチの検定書に精度、期限の規定はありますか?

A.全ての現場において共通の精度、期限はない。

一般的には誤差3~5%の範囲で年に一回程度の校正が目安。
※弊社レンタル品トルクレンチも種類によって4%、3%で校正しております。

Q.5

ボルトとネジの違いは?

A.ボルトは、ナットと組んで使用するおねじ部品の総称。ねじは、ナットを組まないで使用するおねじを持った品物の総称。

※JISB0101参照

Q.6

溶融亜鉛メッキをドブメッキと呼ぶのはなぜか?

A.めっき槽をドブ川に例えてこの中に浸すことからこう呼ばれている。

高温の金属に浸すことから天ぷら料理に似ていることから、
天ぷらメッキとも呼ばれていたこともある。

Q.7

ステンレスネジがかじりや焼付きやすいのはなぜ?

A.熱伝導率が悪いから。

ステンレス鋼は鉄鋼材料に比べて熱膨張率と摩擦係数が高く熱伝導率が悪いので、
熱が逃げにくく伸びやすいことが原因。

Q.8

プレセット型トルクレンチの保管時に特に気を付けないといけないことは?

A.トルクを下げておくこと。

プレセット型、所謂カチンコ。保管するときに設定トルクを最弱にしておくことが大事。
この作業を怠ると設定トルクに大きなずれが生じる。

Q.9

ワッシャーの役割とは?

A.主に部材の陥没を防ぐためのもの。

面積を大きくすることで面圧を小さくしている。
座面が陥没するとゆるみの原因になるので、オーバートルクにも気を付ける必要がある。

Q.10

建築と建設は違うのか?

A.建築は建造物を作ること、建設はもっと広い意味。

建築とは建物を土台から作り上げることの意味。
建設は建物、施設、道路などを作るという広義な言葉で、組織や機構を作ることも意味する。

Q.11

鳶職の皆様に人気のTONE製チタンメガネレンチ。通常の鉄製のものに比べてどのくらい軽いのか?

A.鉄製の55~58%の重さと軽量品。

M16・M20・M22用があります。
お値段は鉄製の8~10倍ほどで販売されている。

Q.12

軸力計に締め付けたボルトをはずす逆転アタッチメント。実際に現場で締めたハイテンボルトをはずすのに使用できる?

A.大量に戻すのは向いていない。

数本はずす作業なら問題ありませんが、
大量にはずそうとすると先端がすぐに摩耗してしまうのであまりお勧めできません。

Q.13

トルクレンチをレンタルするときにどのように注文すればいいのか?

A.用途とトルクの大きさが必要。

まずは、ボルトを締めたいのか、締めてあるボルトのトルクを測りたいのか。
次にどれくらいのトルクで締めるのか(測るのか)を明確にすること、
それによって大きさ(長さ)が異なる。

Q.14

トルク値を表す単位N.m。100N.mはどのくらいの力?

A.1mの長さに約10.2Kgの力をかけて締める値。

半分の長さ50センチのトルクレンチなら10.2×2=20.4Kgをかける値。※トルク=距離×力

Q.15

現在使用されているトルク値N.mニュートンメーターと以前のkgf.mの関係は?

A.1N.m=0.10197kgf.m。約100N.m=10.2kgf.m。

一般的に100N.m=約10kgf.mという認識。

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